はじめに
はてなブックマークの人気エントリー(ホッテントリ)に自分のウェブサイトが載るとどういうことが起きるのかについて書いてみようと思う。はてなブックマークは2013年初頭にリニューアルを実施したので、そのことに触れながら見ていくつもりだ。
そもそもはてなブックマークとは何かとかといった話はこの記事の末尾にまとめてあるので、そちらを参照していただきたい。
なお、はてなブックマークの人気エントリーに載るとどうなるかについては、Stocker.jpのはてブ1位になると、何が起きるのかまとめてみたという記事にすでに記述がある。ただ、この記事は2010年12月27日のもので、情報がやや古い。はてなブックマークは、2013年初頭にリニューアルを実施したので、当時と今とでは状況が異なる点があるのだ。
何が起きるのか
はてなブックマークの人気エントリー(ホッテントリ)に自分のウェブサイトが載るとどういうことが起きるのかについて、自分のブログの例に基づいて紹介したいと思う。私は、Colorless Green Ideasということばや数についてのブログを書いており、そこの記事が何度かはてなブックマークの人気エントリーに出たことがある。その時、アクセス数などがどう変わったのかについて以下で見てみたい。なお、あくまで私のブログの例なので、他のウェブサイトでも同じようなことが起きるとは限らない。
アクセス数の増大
はてなブックマークの人気エントリーに載ると、アクセス数がかなり増大する。例えば、2013年2月24日に「注文の多い料理店―院生編」という文章を書いたところ、それが同日中にはてなブックマークの人気エントリーの上から二番目あたりとなり、はてなブックマークのトップページに載った。この前後の私のブログへのアクセス数は以下の通りだった。
- 2月21日:254
- 2月22日:210
- 2月23日:240
- 2月24日:17860(人気エントリーに載る)
- 2月25日:19608
- 2月26日:5465
- 2月27日:1712
- 2月28日:623
要するに、普段は1日辺り3桁程度のアクセスしかないのが、はてなブックマークのトップページに載ると万を超えるアクセスが来るのだ。この例以外にも、何度か自分の記事がはてなブックマークのトップページに載ったことがあったが、いずれも大体1日辺り万を超えるアクセスがあった。
カテゴリ別の人気エントリーに載ってもアクセス数はあまり増えない
上に述べたことは、はてなブックマーク全体の人気エントリーとなった場合の話である。はてなブックマークの人気エントリーのリストにはカテゴリ別の人気エントリーというものがある。例えば、「学び」の人気エントリーや「テクノロジー」の人気エントリーがある。こうしたカテゴリ別の人気エントリーに載るとどうなるのだろうか。結論を先に言うと、カテゴリ別の人気エントリーに載っても、アクセス数はそれほど増えない。
2013年2月11日に「『専』の右上に点を打つか迷ったら」という記事を書いたところ、同日中に「世の中」の人気エントリーに掲載された。この前後のブログへのアクセス数は以下の通り。
- 2月8日:323
- 2月9日:334
- 2月10日:899 [1]
- 2月11日:3985(人気エントリーに載る)
- 2月12日:2639
- 2月26日:493
- 2月27日:340
- 2月28日:284
このように、カテゴリ別の人気エントリーに載るとアクセス数は確かに増えるのだが、はてなブックマークのトップページに載ったときに比べるとかなり少ない。上記の例はまだアクセス数が増大した方だ。場合によってはカテゴリ別の人気エントリーに載っても、アクセス数がほとんど伸びず、1日辺り数百のアクセス数が千に達したという程度で終わってしまうこともある。
2013年のはてなブックマークのリニューアル前は、カテゴリ別の人気エントリーに載った場合でもアクセス数がかなり増える傾向があった(大体2000ぐらい)。しかし、リニューアル後は千に達する程度にしかならないのである。その理由は後で考察する。
Twitterのフォロワー数
はてなブックマーク全体の人気エントリーになる記事が出てくると、Twitterのフォロワー数が急激に増える。大体、人気エントリー1つに付き、フォロワー数が100-200人ぐらい増える。先ほど挙げた2013年2月24日の「注文の多い料理店―院生編」という例だと、2月23日にはフォロワー数が1100人だったのが、3日後の2月26日は1298人になった。ただし、カテゴリ別の人気エントリーに載っただけの時は、フォロワー数がこのように増えることはない。
なお、私は、自分のウェブサイトの下部の「この記事を書いた人について」という欄ににさりげなく自分のTwitterアカウント (@f_nisihara) へのリンクを貼ってある。また、サイト内に設置しているツイートボタンを押すと、私のTwitterアカウントが出るようにしてある。
分析
はてなブックマークとアクセス数の関係をもう少し詳しく見てみよう。
はてなブックマークそのものからのアクセスは多くない
はてなブックマークの人気エントリーに載ると、アクセス数がかなり増大すると述べたが、これは直接の因果関係を意味するわけではない。人気エントリーに載ったからといって、はてなブックマークそのものからのアクセスがたくさんあるというわけではないのである。
例えば、「大学院をやめました」という2013年3月30日に書いた記事が、はてなブックマークのトップページに人気エントリーとして掲載された。この記事に対して、公開日とその翌日の2日間で21944件のアクセスがあった。しかし、このうち、はてなブックマークからのアクセスは2943件に過ぎない。また、はてなのトップページにもはてなブックマークの人気記事が載っており、ここから来たと思われるアクセスが1139件あった。結果として、はてな関連のアクセスは4082件、全体の18.6%であった。つまり、はてなブックマークそのものから人が来ることは来るのだが、それだけでアクセス数が増えるわけではないのである。
他のソーシャルメディアとの関係
では、どこからアクセスが来るのか。私のブログの場合は、Twitter経由のアクセスが多い。さらにはFacebookからのアクセスも少なくない。新しい記事を書くと、大体Twitterからのアクセスが5割ぐらい、Facebookからのアクセスが1割ぐらいといったところだ。とは言え、はてなブックマークでのブックマークとTwitterでのつぶやきによる記事紹介にはそれなりの関連性がある。はてなブックマークでブックマークしたサイトをTwiiterにも投稿するという人が結構いるからだ。だから、ソーシャルメディア最適化を考えている人にとって、はてなブックマークは軽視すべきものではないと思う。
アクセス記録を見ていると、アクセス数が増える記事は以下のようなパターンを経ることが多い。
- 記事の公開
- Twitterで紹介され始め、Twitterからのアクセスが増える
- はてなブックマークでブックマークする人が出て、はてなブックマークに新着エントリーや人気エントリーとして載り、はてなブックマークからのアクセスが増える
- それを受けてTwitterでの紹介がさらに増え、Twitterからのアクセスがさらに増える
- Facebookや他のサイトでも記事へのリンクが貼られるようになり、これらのサイトからアクセスが流入するようになる
要するに、「序破急」でたとえれば、Twitterは「序」と「急」であり、はてなブックマークは「破」であり、Facebookは「急」である。
2013年のリニューアルによる変化
はてなブックマークは2013年の初頭にリニューアルがあった。『はてなブックマーク日記』の「トップページとカテゴリページをリニューアルしました」という記事によると、サイトのデザインが変わっただけでなく、人気エントリーを選び出すアルゴリズムも変更されたそうだ。
このリニューアルによって、人気エントリーに載ったときに起きることもかなり変わったはずだ。
まず、リニューアルでデザインが変わり、一画面内で表示される人気エントリーの数が少なくなった。これにより、人気エントリーでもページの下部の方に掲載されたものは、たくさんスクロールしないと見えなくなってしまっている。わざわざスクロールするのは面倒なわけで、ページの下部に掲載されることがかなり不利になっている。ページの上部に掲載されるか下部に掲載されるかによって、アクセス数の格差が大きくなっているのである。
また、アルゴリズムの変更によって、人気エントリーがどんどん更新されるようになった。これにより、今までは人気エントリーとして掲載されなかったようなレベルの記事が、人気エントリーとして掲載されるようになったと考えられる。
先ほど、全体の人気エントリーに載るとかなりアクセス数が増えるが、カテゴリ別の人気エントリーに載ってもあまりアクセス数は増えないと述べた。カテゴリ別の人気エントリーの場合、カテゴリページの下部に載れば、あまり見られない。しかも、人気エントリーが滞留しなくなったので、人気エントリーのページに載っている時間も短くなり、アクセス数増大に結びつかないのだろう。
まとめ
- はてなブックマーク全体の人気エントリーになる記事が出てくると、アクセス数の増大が万を超える。
- 人気エントリーになったからといって、はてなブックマークそのものからのアクセス数が増えるわけではない。他のソーシャルメディアとの相乗効果でアクセス数が増える。
- カテゴリ別の人気エントリーに載っても、はてなブックマーク全体の人気エントリーに載った場合ほどアクセス数は伸びない。
- はてなブックマークのリニューアルによって、(カテゴリ別の)人気エントリーに載った場合のアクセス数増大が抑えられていると思われる。
付記:はてなブックマークの人気エントリーとは
はてなブックマークは、ソーシャルブックマークサービスである。ソーシャルブックマークサービスというのは、自分がブックマーク(お気に入りに追加)したウェブサイトを他者と共有することができるサービスのことだ。こういったサービスを使うと、他の人が関心を持っているウェブサイトであるとか、他の人が面白いと思ったウェブサイトが分かる。
はてなブックマークのようなソーシャルブックマークサービスを使うと、実際にウェブサイトの文章を読まなくても、そのウェブサイトが面白いかどうかをブックマーク数から推測できる。いろんな人からブックマークされているウェブサイトは、いろんな人から面白いと思われている可能性が高いと考えられるだ。要するに、ソーシャルブックマークサービスにおけるブックマーク数は人気投票のようなもので、
はてなブックマークには、「人気エントリー」(ホッテントリ)を表示する機能がある。人気エントリーには、いろんな人からブックマークされているウェブサイトが掲載される。
はてなブックマークの人気エントリーにはさまざまなレベルのものがある。一番人気があるグループの記事は、はてなブックマークのトップページに掲載され、はてなのトップページにも載る。それほど人気はない記事は、カテゴリ別の人気エントリーに載ることがある。
- 2月10日のアクセス数がやや多いのは、この日に「昭和四年度旧制第一高等学校入試問題(国語・漢文)」という記事を書いたため、はてなブックマークとは関係なく見に来てくれた人が一定数いたからである。 [↩]